柳沢哲秀院長(柳沢歯科医院)インタビュー

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柳沢歯科医院 院長 / 柳沢哲秀(取材日:2023年8月22日)

柳沢歯科医院公式サイト:https://www.yanagisawa-dc.net/

平成21年 東京歯科大学卒業

平成22年 東京歯科大学歯科保存学講座入局

平成24年 ペンシルバニアデンタルクリニック勤務

平成25年 柳沢歯科医院勤務

平成26年 ベルエアガーデン歯科歯内療法専門医として勤務

平成28年 東京歯科大学歯科保存学講座専攻生

柳沢歯科医院での診療の強み

>今日はお時間いただきありがとうございます。早速ですが柳沢歯科医院の診療の強みって何になりますか?

うちの売りですか?

それは根管治療ですよ。あと、マイクロスコープを使った精密な治療です。

>マイクロスコープを使うとどう変わってくるんでしょうか?

マイクロスコープがないと虫歯が取れてないとか、詳しく歯の中を見えてないとか、要は精度が低いってことなんですよ。まあ、ケースにはよるんですが、マイクロスコープがないと治療はできないです。

マイクロスコープを使わないで治療をするっていうのは、ミジンコの観察を肉眼でやってるのと同じこととも言えますね。

>ああ、それは厳しいですね。

あと、被せ物についても歯にしっかりとフィットしたものを提供しています。

歯を守るためには被せ物と歯がフィットしていて隙間がない状態を作る必要があります。隙間が開いていたら、歯の中にばい菌が入るじゃないですか。

でも、それを叶えるには、時間をかけて、良い材料を使って、腕の良い歯科技工士さんに作ってもらわないとできないんですよ。それで、これを保険内でやったら歯医者さんは潰れてしまいます。

>これって工程が変わるってことなんですか。

工程自体は同じです。同じですけど、その一つ一つの精度に違いが出ます。

保険診療で10分ぐらいで型を取って終わりというのは精度と言う意味では全然ダメだと思います。レントゲンを取ると段差がたくさんありますから。

だから、歯科の治療っていうのは、患者さんが見えるところに本当の価値はないんですよ。患者さんが分からない歯と被せ物の際(きわ)はどうなっているのか、歯の内部の状況がどうなってるかっていうところに本当の価値があるんですよ。

>なるほどですね。インプラントもされたりするんですか?

僕、インプラントやらないんですよ。なんでかっていうと、下手くそなんですよ。

下手くそな僕が患者さんにインプラントをやるっていうのは、これは悪なことじゃないですか。

だから、これからの歯科医療に必要なことっていうのは、患者さんに愛情を持って、”自分が下手くそだからやらない方がいいよ”ってしっかりと言えることなんですよ。その代わりインプラントが得意な良い歯医者さんを紹介します。やはり行くべきは同業である歯医者が紹介するその分野に得意な歯医者なんですよ。

柳沢哲秀院長が予防歯科に力を入れる理由

>柳沢先生は歯科予防、小児矯正にも力を入れられているようですが、そこに至る経緯を教えていただけますか。

そもそも、途中までは(歯科医師として)困ってる人を救うという思いでやっていたんですけど、ある先生に「それって患者は救えてないよ」って言われたんですね。自分はそれまで困ってる人を救うために治療をやってたんで、正直むかついたんです。でも、よくよく考えてみると、確かにその先生が言っていることは正しいと思いました。

治療をすると言っても神経を取って、歯の中をうじうじ綺麗にしてって何をやってるんだろうって思いませんか?当然、私も治療としてやりますけど、それよりもそんな治療をしなくて良いように予防することが大切だと思うんです。

>確かにそうなったら、いつかはインプラントしなきゃいけないのかなって思いながら、生活しなきゃいけないってことですもんね。

まあ、それも可能性としてはありますね。

だから、そうならないようになるべく綺麗な状態で(歯科医院を)定期的に受けておくってことがやっぱり大事です。

歯の治療をRPGに例えた話の解説画像

ドラクエってRPGゲームって分かりますか?

>はい、ドラクエ分かります。

ドラクエのようなRPGってHPが0になると死んでしまってGAME OVERじゃないですか。ダメージを受けて100あるHPが30ぐらいまで少なくっても、ドラクエだと宿屋に泊まればHPが全回復して100に戻るじゃないですか。

でも、歯科における治療は違うんですよ。回復魔法のホイミや宿屋のように全回復する手段はなくて、スカラ・スクルト(※防御力を高める魔法)みたいなものなんですよ。歯の治療はこれ以上悪化をしないように清潔に保つ処置をしたり、そのための指導をしたりすることでHPが0にならないようにするっていうことなんです。

だけど、少しずつHPが減っていって0に近づいて行ったり、0になってやっぱりやられちゃったりするよね、っていう感覚なんですよ。

>瀕死状態から出来ることは限られているということなんですね。

はい、そうです。これは覚えておいた方が良いです。

そういった経緯もあって歯科予防、小児矯正についても力を入れています。

歯並びが悪くなる理由と小児矯正の内容

歯並びがなんで悪くなると思いますか?

>うーん、なんでしょうか。

あごの成長不足なんです。小さな顎に大きな歯が入ってきちゃうから、歯並びが悪くなってしまうのは当然じゃないですか。

子どもの歯並びが気になる親御さんが一般の歯科矯正に行くと、永久歯が生えてくるまで様子を見ましょうという話になるんですね。

で、小さな顎に大きな歯が生えてきて、永久歯が生えてから歯を抜いて綺麗に並べましょうとなるんです。でも、これは一番やっちゃいけないんですね。

様子を見ます。抜歯します。並べます。でも、これでは原因が解消していないので、また歯並びが悪くなる。これを後戻りっていうんですけど。

これを虫歯の話に置き換えると、歯垢がついているけど、まだ虫歯になっていない状況だけど様子を見てみようって話になるんです。でも、虫歯になってしまって、虫歯になっちゃったから削って詰めましょう。こんな話なんです。で、歯磨きはやっぱりできていないと。この後、どうなると思いますか?

>また虫歯になるでしょうね…。

ですよね?こういったことを一般の矯正治療ではやってるんですよ。だから僕からすると何をやってるんだって話なんですよ。

顎を成長させるためには何をすればいいと思います?

ベロです。顎を成長させる筋肉があるんですよ。ベロが上顎に行くことによって顎が前に広がっていくんですよ。ベロが顎の天然の拡大装置になっているんです。だから、人間の生まれながらにして母乳を飲みながらベロを上顎につけるために筋トレをやってるんですよ。ベロを上顎につけて口を閉じて、鼻で息をするという練習をやってるんです。

ということは、母乳育児の期間が短いほど歯並びが悪くなると思いません?

そんな結果がもう出てるんです。

インパクトファクターっていう学術雑誌が各分野内で持つ影響力の大きさを測る指標があるんですけど、その医科系で二大巨頭って言われている『ランセット(The Lancet)』っていう医学専門誌があるんです。

2016年、そこに21世紀の母乳育児という論文が出されているんです。そこには、母乳育児がちゃんとできてないと、子どもの病気のリスクやお母さんの病気のリスクが上がりますとか書かれているんですが、その中に母乳育児が不正咬合を防止する効果があるということが書かれているんですね。

参考URL:Breastfeeding in the 21st century: epidemiology, mechanisms, and lifelong effect(The Lancet)

こういったことに矯正科・矯正歯科が注目してもいいと思うし、被せものをする歯科医師が注目しても良いんじゃないかなと思います。

そういう観点から言うと、やっぱり歯並びが悪いっていうのは不健康なんですよ。だから、僕が常日頃から言ってるのは、子供っていうのは、自分に起こった体の不調を歯並び悪くすることで、大人たちに訴えているんだということです。

だから、これらの諸症状の改善と予防を目的にした治療の一つとして、子どもの歯並びを予防矯正するためのシステムを提供しています。

筋機能療法という、口唇閉鎖の訓練、腹式呼吸・鼻呼吸の習慣化、横隔膜を使う練習などを行い、お口ポカンや口呼吸、舌の位置などの改善を目指します。これによって鼻呼吸、正しい舌の位置、正しい飲み込み方、唇を閉じるという機能を身につけることによって、顎の成長を促し、歯並びが悪くなる原因にアプローチをする「予防型矯正治療」を行います。

また、マイオブレイスというマウスピース型の装置も使います。日中1時間〜2時間と就寝時に装着するのですが、筋機能療法も含めてこれらの努力を子どもにさせるのは大変な面もあります。

だから、この治療のデメリットは患者さん自身の努力が必要だっていうことなんです。ちゃんと継続して子どもにやらせる必要があるんです。だから、この治療が終わった親は「この治療は親がどれだけやらせられるかどうかにかかっていますね」ってよく言われます。

>根気強さが必要そうですね。

だから、親によって上手くいく、いかないってあるんですよ。だから、そういう説明は必ずします。あと、患者さんはこのシステムをやれば芸能人みたいな歯並びになることを想像する方が多いんですけど、違います。

顎が上手く成長し切れば歯並びは良くなるんですが、それでももっと綺麗な歯並びにしたいってなることも当然あるんですよ。その場合は、銀のワイヤーをつけなきゃならないです。

>ああ、なるほど。ちなみにこれって大人はできないんですかね?

大人は残念ながらもう遅いですね。子どもの顎は粘土のように柔らかいからこそできるんですよね。

このような子どもの予防矯正に目線を向けて、歯医者がどれだけ本気でやるかが重要です。だから、これは自費診療です。ただ、普通の矯正よりは金額は安いです。30万円から40万円ぐらいですから。

>大きくなってから、大人になってから矯正することを考えると安いと言えるかもしれないですね。

医院の社会的意義は「歯内療法を必要とする人、患者とその症状を根絶すること」

>今日は医院のこと色々と聞かせていただきありがとうございました。では、調布で子どもの歯並び、虫歯治療(歯内治療)で悩んでいる人は相談してみると良いということですね。結構遠くからも来られるんですよね?

調布の人は半分ぐらいじゃないですか。一番遠くて帯広とか石垣島とかからインターネットの情報や評判を聞いて来てくれる人たちがいますね。

>そんなに遠くから来られるんですね。最後に院長として大切にしていることをお聞かせください。

やはり、医院を経営する上で社会的意義が何なのかっていうことが大切だと思うんです。うちの医院の社会的意義は「歯内療法を必要とする人、患者とその症状を根絶すること」です。

これを実現出来れば歯の健康も守ることができ、国の医療費削減にも繋がるので、社会貢献になると思うんです。そういう思いを持ってやっています。

>本日はどうもありがとうございました。

  柳沢歯科医院公式サイト  

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