開業しない歯科医師とは?

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「開業しない歯科医師っているのかな?」
「開業しない歯科医師ってどんな働き方があるんだろう?」

歯科医師
石田友理
歯科医師 石田友理

このような方に向けてこの記事では、歯科医師資格を保有している私が開業しない歯科医師について解説していきます!


開業しない歯科医師の働き方とは

厚生労働省の令和2年医師・歯科医師・薬剤師統計によると診療所の勤務者が平成30年の人口10 万対歯科医師数は24.9人に対し令和2年の人口10 万対歯科医師数は26.1人と増加しています。また性別別では女性歯科医師は6.3%増加しています。

このことから、歯科業界でも女性の社会進出が増え、女性歯科医師の占める割合が多くなっていることがわかります。昔は必ずと言っていいほど多くの歯科医師が開業することが当たり前でしたが、昨今の経済状況の悪化や働き方の自由化もあり、近年では開業を選択しない歯科医師も増えてきました。

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石田友理
歯科医師 石田友理

では、開業しない場合、歯科医師にはどのような働き方があるのでしょうか?

開業しない歯科医師の働き方4選

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石田友理
歯科医師 石田友理

ここからは、開業しない歯科医師がどのような働き方をしているかご紹介していきます!

開業しない歯科医師の働き方1:勤務医

歯科医院で勤務医として働く場合です。新卒後、研修していた歯科医院でそのまま常勤として勤務するか自分で求人サイト等を使って勤務することが多いです。常勤での勤務は歯科医院によりさまざまですが、給与が固定給であったり、働きに応じて歩合制のところもあります。

非常勤で働くより収入が安定しやすいことや自分が治療した患者さんの経過を長期的に見ることができます。安定した収入を得たい場合や長期的に患者さんをみていきたい歯科医師にはおすすめです。

開業しない歯科医師の働き方2:非常勤

非常勤では週に3回フルタイムで働くまたは、2か所で掛け持ちをして働いたり1日6時間だけ働くなど曜日や時間を決めて働くことができます。子育てで長時間働けない方やいろいろな歯科医院で自由に働きたい方などさまざまな方が存在します。

非常勤は、稼働時間や曜日があらかじめ決められるため、ライフスタイルに合わせた働き方が実現できます。求人サイトでも即戦力となる非常勤の募集を行っている歯科医院も多くあるので、自分の条件と照らし合わせて探すこともできます。

開業しない歯科医師の働き方3:単発バイトで働く

単発バイトはスポットバイトともよばれ1日何時間でいくらと決められていることが多く、企業や施設、学校などに訪問し歯科健診を行うものが該当します。歯科治療ではありませんが、予防の大切さを伝えることができたり、空いた日程で自分の都合に合わせて働くことが可能です。

単発での働き方であり毎月固定の給与を得るのは難しいですが、短時間で給与の高いの案件が多い傾向にあるため、人によってはスポットバイトでも満足できる収入を得られる場合もあるでしょう。時間的な制限があって単発での仕事を探している方や、ブランクがあるが資格を活かして仕事を続けたい方におすすめです。

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歯科医師 石田友理さんのコメント

最近は、非常勤の働き方に加えて、スポットバイトで給与を得る働き方も増えているように感じます。週3日は非常勤、週1日はスポットバイトなど、自由にカスタマイズして働くことができるため自由度が高く、時間も調整しやすいのが特徴です。家事や育児との両立をしたい子育て中の女性歯科医師におすすめの働き方です。

開業しない歯科医師の働き方4:臨床以外で働く

歯科医院での治療以外でも働くことが可能です。病院やクリニック以外でも、歯科医療機器を開発・製造しているメーカー、口腔ケア商品や医薬品を開発する製薬会社などの一般企業などでも、歯科の知識を求められることがあります。

他には保健所や厚生労働省などで、歯科の専門的知識を生かして保健医療に関わる政策の立案から実施まで行うなど、国民の口腔の健康を守る働き方もできます。目の前の患者さんを直接治療するわけではありませんが、歯科医院に通っていない人も含めてアプローチするため国民のデンタルIQをあげることに貢献できます。

デンタルIQとは、歯と口の健康についてどのくらい大切に考えられているかといった、その人の歯と口の健康への関心・意識の度合いを示す言葉です。

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歯科医師 石田友理さんの体験談

前職の歯科医院を結婚を機に退職し、その後は非常勤として歯科治療に従事しながらライターとしても活動しています。非常勤はライフスタイルに合わせて働けることや今後のライフステージに合わせて変えていくことも可能なためこの働き方にしました。また、友人では開業するまでにさまざまな歯科医院の治療法や技術を学ぶために非常勤としていくつかの歯科医院で働いていたりもしています。またスポットバイトとして地方の企業などに歯科健診を行う友人は旅行気分も味わえて新鮮で楽しいとも言っていました。歯科医師としての働き方も昔よりも多様化してきてそれぞれの立場で活躍できますね。

開業しない歯科医師のメリット

歯科医師
石田友理
歯科医師 石田友理

では、開業しない歯科医師のメリットはなんでしょうか?

次の章では開業しない歯科医師のメリットについてご紹介していきます。

開業しない歯科医師のメリット1:開業資金がかからない

歯科医院を開業するためには、地域や坪数などにもよりますが多額の費用がかかります。テナントや土地、建物だけではなく設備やスタッフの給与も含まれます。多くの歯科医師は金融機関で融資を受けるのが一般的ですが、そのかわり長期の返済の責務を負います。

返すべきお金がある状態なので精神的に負担もかかり、開業初期は手元に残る資金が少なく資金繰りが大変なため、自分の自由になるお金が少なく感じます。開業をしない歯科医師は勤務する歯科医院で働いた分だけ給与が得られるので自分の自由に使えます。

勤務医として働いていれば、開業資金を返済していかなければならないリスクや、患者さんの来院数により毎月の収入が左右される不安定さはありません。

開業しない歯科医師のメリット2:治療に専念できる

経営方針や治療方針は勤務先の歯科医院に従う必要がありますが、歯科医院の経営よりも目の前の患者さんの治療に集中できるので、自分の得意な治療やスキルアップに専念することができます。また、歯科医院によってはスキルアップに必要な研修や機材を勤務先の負担で利用することができます。

開業しない歯科医師のメリット3:人材募集や教育に時間を割かなくてもよい

歯科医院を開業をした場合、スタッフの採用や教育にも力を入れなければなりません。なぜならスタッフと共に治療方針や考え方を共有するのに必要だからです。

開業初期では、教育する立場にある人は院長のみです。そのため、教育できる人材を探すか、院長自身が積極的に教育を行う必要があります。また、現在は人材不足の歯科医院も多く簡単に採用することが難しいため、人材教育に力を入れることが重要です。

開業しない場合では、歯科衛生士や歯科助手同士が先輩から後輩へ教育する環境が整っているので、歯科医師が自ら教育する必要がなくスキルのある歯科衛生士や歯科助手と一緒に働くことができます。

開業しない歯科医師のデメリット

歯科医師
石田友理
歯科医師 石田友理

開業しない歯科医師のデメリットはあるのでしょうか。

それでは、開業しない歯科医師のデメリットもご紹介していきます。

開業しない歯科医師のデメリット1:自分の思うような治療ができない

開業すると自分の理想とする治療を追求することができます。もちろん患者さんに説明した上で治療計画を立てる必要がありますが、勤務医として働いている場合は勤務先の歯科医院の方針があるため、自分の思うような理想の治療ができません。

外部研修やセミナーへの参加が積極的に支援されている歯科医院では、自身のスキルアップとともに行いたい治療を患者さんに提供できる場合もありますが、自分のカラーを全面に出して治療を行うのは難しいです。

開業しない歯科医師のデメリット2:収入に上限がある

厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査によると歯科医師の平均年収が約810万円であるのに対し、令和3年(第23回)医療経済実態調査によると歯科医院の法人における院長の平均年収は1,475万円です。歯科医院を開業し、患者さんの集患に成功し維持する限り収入は安定します。

集患と経営収支がうまく行けば、恐らく勤務医時代より収入が上がるでしょう。働く年齢も自分で決める事ができ、他の勤務医の方がいれば、自分が休みの日も収益を得る事ができます。しかし開業せずに勤務医として働いている場合は、年齢とともに役職や給与が上がっていきますが収入には上限があります。

開業しない歯科医師のデメリット3:高齢になった時の働き方が不安

開業し法人の歯科医院であれば高齢になっても理事長という立場で自身は経営にまわったりすることができますが、開業しない場合は終身の雇用は約束されていません。歯科医師には定年がないとはいえ、勤務医として働いている場合は歯科医院によって定年制度を設けているところもあります。

また、自分の体が資本になるので長期で体調を崩すと給与が貰えなくなったり、失職する事もあります。老年以降の雇用が安定しない事もあるので有事の際や、将来的な収入に不安を抱えるのがウィークポイントと言えるでしょう。

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石田友理
歯科医師 石田友理

いかがでしたか?以上が開業しない歯科医師のメリット・デメリットです。

以上を踏まえて、自分自身が何を重視するかや進むべき道に合わせて歯科医師としてキャリアを考えることが重要です。開業しないメリット・デメリットを考え慎重に検討するのがよいでしょう。

まとめ

歯科医師は必ず開業するわけではありません。開業にはリスクもあり、成功するためには工夫や努力も必要です。無理して開業せずに勤務医として働き続けるのもひとつの選択肢です。自身のニーズや将来の計画を考え、自身のキャリアプランを立てていくのが重要です。

歯科医師
石田友理
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開業する・しないを悩んでいる方のお役に立てましたら幸いです!